左手の拡張について、あゆみさまからご質問いただきました。
    あゆみさま、ご質問ありがとうございます。
     
    
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      Q
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    サイト、とても勉強になりました。ありがとうございます。
    私は2年前にバイオリンを始めた社会人です。
    鈴木の3巻に入った所ですが、ポジションはまだ1stだけで、先を急がずに基礎を大切にする練習を心がけています。
    大変厚かましいのですが、ひとつ質問させてください。音階の説明にあった「下りは1指を残して4指を取る」についてです。
    
    私は小指がとても短いです(薬指の半分位)。
    1指と4指での音程は、狭い方(例えば「E線1指のファ♯からA線4指のミ」に下る)が精一杯で、広い方(例えばE線1指のファ♮からA線4指のミに下る)で1を残すと、手がつりそうになります。というより、その時点で左手の形が完全に崩れてしまいます。
    
    1を完全に解放して4を取るほうが、左手がリラックスして届きやすいのですが、これは、やはりいけないことなのでしょうか。
    レッスンの先生は「残す方がいいけど、無理して傷めないように…」と言われます。
    
    実は、最初の1年半は狭い方でさえ殆ど取れなかったのです。そのことでとても悩み、どうやったら4が届くのか一生懸命考え、練習し、最近やっと狭い方なら取れるようになってきました。
    練習すれば広い方も取れるようになるのか、それとも、私のように極端に小指が短い場合は、無理をしないほうがいいのか、悩んでいます。
    完全ではなくても、できるだけぎりぎりまで残す(1から4へバトンタッチするように渡す?)とか・・・如何でしょうか?
    先生の指導のご経験から、アドバイスをお聞かせいただけると幸いです。長々とすみません。よろしくお願いします。
    
    
    
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      A
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    ご質問は、1指と4指の拡張についてお悩み、ということですね。
    しばしば、指の長さについて皆さんお気になさりますが、実はあまり関係がありません。
    手は指の長さよりも、手のひらを拡張させることが重要です。
    たとえ、手が大きく指が長くても、手のひらの拡張が出来ていないと音程の幅は狭いままになります。
    実際、私の生徒さんで180cm近い身長の男性がいらっしゃいますが、手の拡張に時間がかかった方がいます。
    現在も、小指の角度に問題があるのですが、時間をかけて指の角度が正しい位置になってきいます。
    まず、結論から申し上げますと、手の拡張は時間がかかりますが大人でも可能です。
    ヴァイオリンはそもそもかなり無理な体勢で弾いている楽器です。
    まむし指のご質問でもお答えしましたが、年単位で取り組んで時間をかけていけば、関節が開き、指の形が矯正されていきます。
    モデルは大人から始めた生徒さんです。
    あゆみさまが仰っている、E線のF(ファ♮)からA線のE(ミ)の手の形を作ってもらいました。
    モデルの生徒さんは手が小さいので、手の甲を開くだけでは届かないので、1指を手のひらからはみ出たような形でFの音程を取り、4指は若干伸び気味です。
    
    この形状に持っていくにも、手のひらの柔軟性が要求されます。
    体の硬い人は、時間がかかる傾向があります。
    
    仰っておられる、「1を完全に解放して4を取るほうが、左手がリラックスして届きやすい」とのことは、ごもっともなのですが、基礎練習ではなるべく1指を残した形の練習を積み重ねてください。
    石の上にも3年、徐々に関節が開いてきます。
    そもそもなぜ1指を残して4指を押さえる必要があるのか、大きな理由は2つあります。
    ひとつ目は、F→Eへと音階を下りてくるときに、1指を離してしまうと移弦の際に雑音が入りやすくなること。
    二つ目は、1指を離して4指を押さえたら手のひらが縮み、全体が4指に引き寄せられて音程が高くなる、ということが起こりやすくなります。
    将来速弾きをするとき、手の形を維持して、指先だけがポイントを捉えることができるようにするためにも、手の拡張は必須課題なのです。
    
    なので、あきらめずに、じっくり時間をかけて手の拡張とは向き合ってください。
    あゆみさまが仰る「完全ではなくても、できるだけぎりぎりまで残す(1から4へバトンタッチするように渡す?)とか・・・如何でしょうか?」は大いに賛成です。
    
    現時点では、このお考え方で、次第に長い時間1指を残せるようになれれば理想的です。
    曲では、優先されるのは音楽をすることですので、必ずしも1指を残すことは意識なさらなくても良いのですが、基礎練習ではなるべく手の拡張を意識なさってください。
    大丈夫、だんだん開いてきます!!
    あゆみさまの先生が仰るように、痛めてしまっては元も子もないのですが、少しづつ、長い目で取り組んでただけたらと思います。
    
    時間がかかることをやっているのですから、焦らず、少しずつできるようになっていく自分を楽しんでください。
    
    まだお始めになって2年とのこと、まだまだ沢山の曲やテクニックがあゆみさまを待っております。(^_^)
    どうか楽しみながらヴァイオリン生活を送ってください。
    
    この度はご質問ありがとうございました。