調弦について、ヴァイオリン教師をなさっている、はる様よりご質問いただきました。
はる様、ご質問ありがとうございます。
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Q
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早速HPを読み始めました!
調弦の所から、私はNG(*_*)音感のない生徒さん(特に大人の方)のは、諦めてかかり、生徒さんに弾かせてこちらで回してしまう派でした…
あと、質問です!
G線は、耳とチューナーとでは誤差がありますが、どちらが正解なんでしょうか?
こんな質問で本当にお恥ずかしいのですが…純正調をきちんと理解出来ていません。
私自身、耳で合わせたG線がチューナーで低いと判定されてしまうので、A線を442のピアノよりちょっと高めにとって、あとは耳で合わせています。
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A
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ご質問、ありがとうございます。
仰るように、完全5度のうねりを消した純正調で調弦すると、音程はどんどん広がります。
その矛盾を解消するべく様々な音律で調弦してきた結果「平均律」が生まれました。
オクターブの中を12等分に調弦したので、「12平均律」と名付けられ、とても画期的な調弦方法だったわけです。
この調弦法は、オクターブとユミゾン以外の音、例えば3度音程や6度はうねります。
ただ、ピアノの面白いところは、自身で音程を整えます。
すこし狂っているピアノで弾くとわかりやすいのですが、例えばC・Es・Gesの和音を弾いたとき、打弦の瞬間は音が濁りますが、しばらくすると、弦の振動が合ってきて、音が合うのです。
これが、電子ピアノでは起こりません。
倍音や共鳴のなせる技です。
アコースティックが電子楽器に置き換わらない最大の理由ではないでしょうか。
話がそれてしまいました。
ヴァイオリンは5度調弦ですが、例えば、G・Eの重音をG線のG、D線のEでうねりが無いように弾いたあと、D線のEとA線の開放弦とで弾いてみてください。
音程が合わないですよね。
Gに合わせるにはEは低くしますが、そのEではAと合いません。
というわけで、音程というのは矛盾だらけ。
特に、ヴァイオリンの重音になると、もっともっと矛盾だらけです。
そこに折り合いをつけるには平均律は持ってこいなのです。
残念ながら絶版になってしまったのですが、スメタナカルテットの本があります。
そこには、調弦は平均律でするべき!と書いてあります。
全員で平均律に開放弦を合わせて弾くことにより、多少の矛盾と折り合いをつけることができます。
さて、では一人で弾く時、または普段はどうしましょう?
結論は、「平均律で調弦する」です。
なので、Aを合わせ、Dをやや高め、そしてGも高め、Eはやや低く、となります。
まるで、自分で解決したように書いてますが、このことは師匠から習いました。
ご参考にどうぞ!!(*^_^*)
はる様、ご質問、ありがとうございました。
音程の議論は、パンドラの箱を開けるようなものです。
詳しくは、下記書籍をご参照くださいませ。
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