音階指導の進め方


私のところに、他所の先生から移ってくる生徒さんは、大人、子供のどちらも、そのほとんどが音階指導をあまり受けていない印象があります。

 

たまたま私のところに移ってくる方々がそうなのかもしれませんが、初期から音階指導はしない、または必要性を感じておられないのか・・・。

おそらく、つまらない基礎練習を最初からやって厳しくしてしまうことに、教師側に抵抗感があるのかなあと推測しています。


あまり厳しくしてしまうと生徒が続かない、と心配されているのかもしれませんが、実はその逆です。

基礎構築をしてこないと、ヴィヴァルディ、バッハなどの16分音符が並ぶ曲を学習する辺りで挫折する可能性が高く、結局は長続きしない原因を作ってしまうことになります。


初期からの音階と、ポジション移動を学習しているかは、ヴィヴァルディ以降の進度に大きく関わってきます。


また、現在学習している曲の音階のみを弾いている場合もあります。

大抵の生徒は、一曲に対して数週間学習します。

その間、ずっと同じ調の音階を学習するよりは、1・2週間でひとつの調をやり、様々な音階の指幅を学習する方が、指板の中の音の位置関係を頭に叩き込めます。

音階学習は、絶対に必要不可欠なものです。


では、具体的にどのように指導していくか。

 以下は、あくまで、私の指導の仕方です。

生徒によって方法は変わります。ひとつの案としてお読みください。



幼児であっても、大人であっても、初期では姿勢と持ち方指導 に終始します。

 

そして、1本の弦か2本の弦のみ、あるいは解放弦のみの曲を学習し、その後2弦で弾ける1オクターブの音階が出てきます。


私は、最初から基本的な指使い を指導します。

その後、セビシックOp.1-1 No.1 で左手の学習を併用し、小野アンナ著「ヴァイオリン音階教本」 P.2 Scale-Studiesへ移り、C-Durから順番に学習します。

 

ここは教師によって意見が分かれるとは思いますが、私はP.2 Scale-Studiesの全部の調をやる必要はないと考えています。

P.15 Scales and Chords of two Octavesで全部の調を学習する予定なのと、ここで全部の調をやっていると時間がかかり、他教材とのバランスがとりにくくなるからです。

また、♯系の調は曲で多く学習できますので、♭系の調から学習するのは低い1・4指等の指幅を学習する上で効率的です。

 

 

こちら でも述べましたが、技術的なことは前倒しで指導するといいでしょう。

なので、鈴木2巻の終りには、P.7の第1ポジションの音階を学習しているようにバランスを取ります。

同時に、ポジション移動の学習も開始しています。


ポジションエチュードで第3ポジションを学習したら、P.15 Scales and Chords of two Octaves に移り、しばらくは第3ポジションのみで弾ける調を学習します。

分散和音は、第5ポジションを学習するまでは弾きません。

音程と親指先行の動きが安定するまでは第3ポジションの音階のみ訓練し、第5ポジションを学習した以降は、C-Durに分散和音をプラスして指導します。

その後は、順番通りに進めます。

 

2オクターブスケールを一周し、技術が安定できていると判断できる生徒は3オクターブスケールに移り、同時に3度・6度・8度を始めます。



’15年2月1日 改稿


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